<< July 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
日本の伝統を継承していくひとつの方法
現在では洋の風潮が高まり日本の伝統が日々薄れているように感じます。ただし、それは悪い事だとは思っておりません。時代に沿ったモノを提案する、今のニーズに応えたモノを提案することは必要だからです。

しかし、日本人として生まれてきた以上、やはり日本の伝統は残していきたいという想いがあります。私が生まれた頃にはすでに洋風化が進み、直接日本の伝統に触れてきたわけではありませんが、古くから息づく日本の数々の伝統品には趣きの深さを感じます。そこには日本人ならではの感性や美意識があります。

そうした魅力を少しでも伝えていきたい。そんな想いから私は日本人の美意識の原点とも言える和を基調としたお墓を提案しているのですが、和という言葉には様々な解釈の仕方があると思います。一般的に和というと懐古的なイメージが強いですが、私は伝統を残すためといっても必要以上に懐古的にする必要はないと思っております。日本の伝統もその時代を生きる人々によって少しずつカタチを変えてきました。伝統をそのまま継承する方法もありますが、それを現代的な解釈をし、現代の人々が共感できるカタチに変えていく・・・。

それも伝統を未来へと継承するひとつの方法だと思っております。

変化する価値観
テクノロジーの進歩によって時代は常に前へ前へと進んでいきます。その流れの中で、私たちの価値観も少しずつ変化していっています。

しかし、私たちは未来と過去の間に存在しています。進むその先には未来がありますが、その後ろにも今までに作り出された膨大な歴史があります。新しい価値観が生まれる裏には、消えてしまう価値観があります。常に新しいモノを生み出そうと前へ進む事は素晴らしい事ですが、その中で消えそうになる価値に一度目を向けることも大切だと思います。

一度消えてしまった価値を取り戻すことは、新しい価値を生み出す以上に時間のかかるものです。新しいモノづくりには、未来だけに目を向けるのではなく、過去をさかのぼり、その背後から全体を見通す様な視線を持つ事が必要だと感じます。

他との違いをきちんと伝える
墓石業界だけに限らず、日本のモノづくりに対する意識レベルは非常に高いです。語弊を恐れずに言わせて頂くと、今やどこで建てても一定の水準を満たした墓石を建てられます。それだけ日本の全体的なレベルは高くなっています。お客様にとってはとても素晴らしい時代と言えるでしょう。

しかし一方で、業者にとっては選ばれなければ意味がないという厳しい現実があります。そのため各石材商社や石材店は他社との差を出すために、日々試行錯誤を繰り返し努力していくわけです。石の研磨の方法、正確な加工技術、品質の良い石の仕入れ、墓石のデザインなど様々な努力です。ですが、この差というのは一般の人から見るとわからないような「わずかな差」であることが数多くあります。同業者にとっては大きな差でも、一般の人には同じようにしか見えないのです。正直私もこの墓石業界に入りたての頃は、どの石を見ても違いがよくわからず、白、グレー、黒といった判断しかできませんでした。また、知り合いに墓石のデザインをしていることを話しても、「デザイン墓石の存在すら知らない」という人も少なくありません。

たしかに、より良いモノをつくるためにコストを投入していくという姿勢は、モノづくりを支える上でなくてはならないものです。しかし、それと同じくらい重要なことがあります。「わかりやすくきちんと違いを伝える」ということです。いくらより良いものをと思いコストを投入しても、他と同じものだと思われてしまっては意味がありません。同じものだと思われてしまえば結局は価格が安いものが選ばれてしまいます。お客様にとっては違いがわからない以上、価格で判断するしか方法がないので当然です。そのため「他とはどう違うのか」それを「わかりやすくきちんと違いを伝える」ことが重要になってくるのです。

また、その重要性は業界内のレベルが高まるにつれ、今後さらに高まっていくことでしょう。

魅力の再発見、墓石業界の今後。
blog003.jpg

電子メディアの発達により、電子書籍が大きく広がりを見せています。その一方で紙を使った書籍の存在が危ぶまれる見方もされていますが、私は決してそうは思いません。逆に書籍の価値はさらに高まっていくと感じています。私たちは電子書籍の発達のおかげで、紙という素材の魅力に改めて気付かされたのです。紙が持つ匂いや質感、時間による風化など無機質な電子書籍では味わえない魅力です。

個人的な感想ではありますが電子書籍と紙の書籍で読書をしたときの違い、それは紙の書籍で読書をする方が「書き手の世界に入り込んだ気分になれる」という点です。きっと紙が持つ雰囲気がそういう気分にさせてくれるのでしょう。たしかに手軽さから見ると電子書籍が勝っていますが、読書の雰囲気を味わえるのはやはり紙の書籍であり、この先も電子書籍が上回ることはないと思います。

そう考えると、それぞれの書籍の今後の役割が見えてきます。手軽さを売りとする電子書籍は手軽に読書をしたい人や情報収集の道具としての書籍。紙の書籍はより読書の雰囲気を味わいたい人のための書籍。ですので、これからの紙の書籍は紙という素材の特徴がいかに活かされたデザインになっているかが課題になってくるでしょう。

この現象は、墓石業界でも同じ様なことが言えると思います。納骨堂などの普及により墓石離れが進んでいると言われていますが、私はこの先も墓石を建てる人がいなくなる事はないと思っています。墓石にも納骨堂では味わえない石の持つ魅力があるからです。ですので、私は今後の墓石業界も書籍業界と同じように、墓石を求めるお客様にいかに石の魅力を活かした墓石を提供できるかが課題になっていくと感じています。